公衆浴場背景画普及会

10分の1 縮尺版背景画の制作

背景画の作品には、山川草木とか、山水画、山と水は切っても切れない関係にあります。

背景画は湯船の湯船のところにある壁画です。それは都会にはない自然の風景を、銭湯に入る事によって殺風景な町並みから自然界を望む憩いの場ではないかと思います。

背景画を描くには、場所の選定、スピーディーな技術、そして鮮明に、明るく、雄大であること。背景画はおおむね布を使っており、横十五米、縦四米位が標準で大きなキャンパスです。その布の目止㊙下塗り、上塗りと様々な要素があります。

背景画は年に1回の描き換えの契約となって居りました。人々がこの背景画を眺め、いくらかでも清涼剤になればと永年描き続けてまいりました。

現在は背景画保存会の方々とともに約十分の一のミニ板を同じ手法、同じ筆法により再現し、共にこれを後背に残したいと思って居ります。

尚、浴場背景画については一般の人々は「何んだ風呂屋のペンキ絵か」と簡単に思っていますが、ちょっとやそっとのことでは習得できるものではありません。描く場所の選定、色彩、塗料の材料、調合、各テクニック等、果てしない道の連続である、と言っても過言ではないでしょう。

また、浴場背景画は、油絵、水彩画と違い、ペンキ絵であり、描く為の道具類、その他の手法も独特のものであり、一朝一夕でできるものではありません。よって浴場背景絵師はこのような努力と永年の研鑽によって背景画を独特のものとして描きつづけ庶民の文化にささやかなりとも貢献したものと自負しています。

背景絵師 佐怒賀次男
公衆浴場背景画保存会 平成3年 パンフレット より抜粋